恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜





「ああ…、もっと早くこうやって、あなたに抱きしめてもらえばよかった……」


 こんなにも、二人が同じ想いを共有していると確信することができる。二人の間の想いが同じものなら、それ以上に大事なものなどないはずだ。そうすれば、あんなに余計なことを考えて、惑うことなどなかったはずだ。


 ポツリとつぶやかれた真琴の言葉に、古庄は抱擁を解いて真琴の頭を両手で抱え、じっとその顔を見つめる。真琴は涙が残る顔で、花のように微笑んだ。

 もう、想いは何も言葉にならず、言葉の代わりに古庄はそっと唇を重ねた。


 触れるだけで離された唇は、お互いが同じ意志を持っていたかのように、一瞬後にはもう一度重ねられていた。狂おしいキスを交わしながら、古庄は再び真琴の肩を抱えこむ。真琴もキスが深まっていくにつれて、古庄の背中に回した手できつくシャツを握りしめた。


 唇を重ねながら、次から次へと想いが溢れてくる。そして古庄は、まだ大事なことを真琴に告げていないことに気がついた。

 名残り惜しそうに唇を離した瞬間、自分を見上げる真琴のあまりの愛らしさに、もう一度キスしたくなる。しかし、その衝動を抑えて、腕の中に深く真琴を抱き込みながら、額に口づけするに留めた。


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