恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
なりたくてなった教師という職業だけれど、こんな時は自分が何をしているのかさえ分からなくなってしまう。でも、目の前にあるするべきことを、一つ一つこなしていくしかない……。
そう思いながら、一時間目の授業を終えた真琴が、二時間目の授業の準備をしていた時、不意に古庄がやって来て、真琴に耳打ちした。
「さっき書いてもらったアレ。今役所に出してきたから」
疲れていて思考停止状態の真琴は、何のことを言っているのか分からなかった。
しかし、一瞬後には目を丸くして叫んでいた。
「出してきたぁ…?!!」
真琴の声が職員室に響き渡る。職員室中の注目を浴びてしまったので、とっさに口を押えて会釈をした。
「出してきたって…!だって保証人は……!?」
世界史の教科書を握りしめて、授業の準備をするふりをしながら、ヒソヒソと古庄に話しかける。
「保証人は校長と教頭になってもらった。それから一時間目が空いてたから、自転車でひとっ走り、市役所まで行ってきたんだ」