恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
話をするには、仕事が終わった後に二人きりで会う必要があるのだが……、古庄はなかなかそれを真琴に切り出せずにいた。
真琴は普段通り仕事をしているが、古庄と目を合わせようとしない。古庄の驚異的な容姿に圧倒されて彼を避けていた、出会ったばかりの頃のように。
古庄が悶々としたまま、その日の授業も終わろうとしていた六時間目。この九月に、家庭科の教員の産休代替で赴任してきていた平沢という女性教師が、古庄へと近づいてきた。
「古庄先生」
声をかけられて振り向くと、平沢とのあまりの近さに驚いて、古庄は思わず一歩のけ反った。
「古庄先生、今日、何かいいことありました?」
そう問いかけてくる彼女の出で立ちは、大きな胸がいっそう強調されるぴったりとしたカットソーのノースリーブに、ミニスカート。全身から色気がにじみ出てくるようで、いくら若いからといっても教師には似つかわしくないものだった。
いきなり質問されて、古庄は無言で肩をすくめる。
「2時間目に先生が授業をした生徒たちが、今日の古庄先生はニヤニヤ顔が緩みっぱなしで気持ち悪かった…って、言ってたものだから」
そう言って古庄を見上げる目つきにも、色気がたっぷりだ。