恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜




「えっ?!私、そんなつもりで言ったんじゃ…!!皆さん、女性としてとても素敵だし、私もそんな大人の女性になりたいって思ってるんです」


 途端に理子は顔を青ざめさせて、弁解を始めた。


「ホントにぃ?仕事ばっかしてて干物になっちゃった私たちみたいになったら、お嫁に行けなくなるわよぉ~?それでもいいの?」


 谷口と同年代の英語教師の石井が、意地悪な質問をして口をはさんだ。


 開き直ったアラサ―女性ほど怖いものはない……。


「えっ!それは……」


と、思わず理子も口ごもってしまう。

 ちょっと可哀想になってきたので、真琴は助け舟を出した。


「谷口先生も石井先生も、とてもおしゃれだし、全然干物じゃないと思うけど。それに、お嫁に行けないんじゃなくて、自分の意志で結婚しないんでしょ?」


「それも、そうだけど」


 真琴の指摘を受けて、谷口も石井も肩をすくめて笑った。

 前々から谷口は、端から結婚する気などないと公言しているし、石井は十年以上も付き合っている彼氏がいることを、真琴は知っている。


 結婚すると少なからず今の生活を変えなければならない。そうすると少なからず仕事にも影響が出てくる。



 
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