恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
真琴がそう答えてくれたので、古庄は立ち止まって真琴の表情を覗き込んだ。自分の要求を、真琴に強要しているのではないことを確かめるために。
目が合うと、真琴は恥ずかしそうにニコリと笑った。その笑顔を見て、古庄の中の何かに火が付く。懐中電灯を消して、古庄はそっと真琴の手を取った。
真琴がその手の感覚に息を呑んで、薄暗闇の中の古庄を見上げる。……と同時に、真琴の視界の端に白い人影を捉えた。
古庄は手を繋ぐだけに止めようと思ったのだが、心の中の火はもう消しようがなく大きくなり、どうにも自分が抑えられなくなった。
真琴の手を引いて、その腕の中へと真琴を抱え込んだ。
真琴も待ち望んでいた感覚――。
古庄の胸のあまりの暖かさに、真琴はその中へと溶け込んでしまいたくなる。
しかし、先ほどの人影のことを思い出した。
こんなところを誰かに見られたら、大変なことになる……!
「誰か…、生徒がいます!!」
切迫した真琴の声に、古庄も弾かれたように抱擁を解き、その身を離した。
「まだ、残ってるヤツがいるのか?」
と呟きながら、古庄はその生徒の姿を探す。
真琴が指さした窓辺へと向かい、真琴と共に外を確認する。