恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
街灯の明かりに照らされる前庭、植えられているソテツの葉陰で、人影が動いているのが見える。
窓を開けて、二人の目に飛び込んできたのは……、生徒同士の熱烈なラブシーンだった。
真琴は驚きのあまり両手で口を押え、息を止めた。あまりの生々しさに声も出ず、体が硬直して鼓動が一気に早まった。
古庄も驚いているには違いなかったが、いつまでもそのラブシーンを眺めているわけにもいかないので、
「おい!!」
と、大声で呼んだ。
声をかけられて、生徒二人は跳び上がり、すぐに逃げ出そうとした。
「こらぁ!火野ぉ!逃げるな!!こっちに来い!!」
授業に行っているクラスの子だったのだろうか?古庄はその生徒の名前を知っていた。
名前を呼ばれたので、逃げてもしょうがないと思ったのだろう。火野というその男子生徒は、すごすごとこちらへと歩んできた。相手の女子生徒も逃げることはせず、火野の後についてきている。
「とんだ文化祭の準備だな」
と言いながら、古庄が窓から身を乗り出して、懐中電灯で二人を照らす。
その瞬間、真琴の目に映ったのは、女子生徒のはだけた制服とその下に着けているブラジャーだった。