恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜

歓迎会




 仕事を終えた2年部の教員たちが、取り立てて特徴もない居酒屋にちらほらと集まり始める。

 今夜歓迎会を開いてもらう平沢先生は、一旦帰宅してきたのであろうか。例のごとく、胸の大きく開いたピッタリしたカットソーにミニスカートという、到底学校では着られないような勝負服で準備万端だ。


 歓送迎会や年末年始の宴会など、こんな飲み会は、職場を離れて職員同士が打ち解けられる貴重な場であり、さらに一歩進んで、意中の人とお近づきになる格好の機会でもある。

 平沢は、当然のごとく古庄の姿を探していたらしいが、古庄は文化祭準備の煩雑な業務のためか、歓迎会の開始時には間に合わなかった。


 結局平沢は、五十歳手前の学年主任と、今年定年を迎える数学の先生との間に挟まれて、そこに落ち着くことになった。

 平沢のがっかりは手に取るようだったが、両側のオジサン先生はまんざらでもないみたいだ。女らしさを強調している平沢の横で、鼻の下を伸ばして嬉しそうな顔をしている。


 今日のような飲み会は、最初こそ学年主任や平沢のあいさつがあったりしたが、学校主催の宴会のように堅苦しいものではなく、すでに打ち解けている者同士、和やかな雰囲気だ。
 真琴も同じ学年部の石井と隣同士に座って他愛のないおしゃべりをし、楽しい時を過ごした。


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