恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
本当は平沢の歓迎会なので、平沢にお酌でもしに行かねばならないのだろうと真琴は思ったが、今は両隣のオジサンたちとそれはそれで楽しそうにしているので、邪魔しないで後からにすることにした。
そうしている内に、時計の針は八時を指し、宴会も歓迎会という意味合いは薄くなり、出席者同士が席を移ったりして盛り上がってきた。
それでも、古庄はまだ姿を現さない。真琴も、何かあったのかと少し気になってくる。
こんな時普通ならば、携帯電話でちょっと様子を聞いたりすることもできるのだが、古庄は携帯電話を持ち歩かない。二、三日、自動車に置きっぱなしにすることなどしょっちゅうだ。
真琴は後から来る古庄のために、真琴は大皿に残されている料理のいくつかを数枚の小皿に取り、別のところに除けておいた。こうしておけば、冷えてしまった料理とはいえ、古庄の空腹は満たせる。
古庄のことが気になりつつ、真琴が平沢の方へ目をやると、平沢はまだオジサン先生二人に挟まれて話の相手をさせられていた。
一時間以上もその状態というのは、さすがに可哀想に思えて、真琴は料理が並べられたテーブルの上のビールの冷えているものを選んで、平沢のところへと席を立った。
「お邪魔します。平沢先生、何飲んでます?ビールでいいですか?」