恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
 


「どのくらい大きいんですか?」


「校舎の屋上から吊り下げて、1階の窓くらいまでくるかな。それが縦で、横はその2倍はある長方形だから」


 古庄の説明を聞きながら、真琴は大体の大きさを想像してうなずいた。


「それで、いい方法は見つかったんですか?」


 真琴のその問いかけに、古庄は揚げ出し豆腐を頬張りながら、肩をすくめた。


「まだ時間はあるから。自分たちで何とか解決させたいんだ」


 それを聞いた真琴が、とても嬉しそうな顔をして微笑んだ。

 確かに、教師が生徒にあれこれ入れ知恵をして、問題を解決させるのはたやすい。けれども、そうしたいのをじっと我慢して見守ってあげなければ、生徒は成長しない。せっかくの成長の機会を、奪ってしまうことにもなりかねない。

 生徒と一緒になって頑張るあまり、いつの間にか自分が主導権を握っている教師がたくさんいる中で、古庄はそうならないように、生徒自身の力で解決できるように導いてあげている……。

 そんな古庄の教師としての能力と懐の深さを、真琴はとても頼もしく感じて、自然と優しい笑顔になった。


 その真琴の笑顔に、古庄は思わず見とれてしまう。
 愛しさが募ってきて、今すぐ抱きしめてキスをして、もう満水状態の自分の愛情を表現したくてたまらなくなる。手のひらに湧き上がってくるその欲求を、古庄はグッと拳を握って堪えた。

 
 
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