恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
 
 

 真琴はあまり作り笑いなどをして、愛想を振りまいたりするタイプではない。どちらかと言うと、感情がすぐ顔に出る不器用なタイプだ。

 だからこそ、真琴の笑顔は貴重だった。古庄は瑞々しく可憐な真琴の笑顔が、たまらないほど大好きだ。
 ましてや、自分を深く理解し認めてくれている真琴の表情を見ると、真琴なしでは生きていけないとさえ思えてしまう。



――…もう、我慢の限界だ……!!


 注文したビールを飲み干してから、決意した。この歓迎会が終わったら、真琴のアパートに一緒に帰ろうと。


 古庄が一通り食べ終わったとき、幹事をしている戸部から一同に声がかけられて、歓迎会はお開きになった。

 しかし、週末ということもあって、夜はまだまだ終わりそうになく、ほとんどの者は店の前にたむろして、帰る気配は感じられない。

 けれども、古庄は何としても、真琴を伴って帰らねばならなかった。
 古庄が真琴に寄り添って、これから二人で帰ってしまおうということを耳打ちしようとしたその矢先、平沢が古庄の姿を見つけて近づいてきた。


「古庄先生、来てたんですね。お話しできなかったから、二次会で是非お話しさせてください!」


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