恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
けれども、理子がここへ来た目的は、古庄に少しでも近づくために他ならない。
放課後の校内の見回りを、古庄と二人でできなかったことの埋め合わせだろうか。それとも、平沢に出し抜かれたくないと焦っているのだろうか。
いずれにしても、育ちがよく清楚で大人しい様相の理子も、恋愛に関してはかなり大胆で積極的みたいだ。
理子の視線の先はしっかりと古庄を捉えていたが、他の人間を押し退けて古庄の隣に座ることもできず、とりあえず空けてもらった席に落ち着いた。
平沢のみならず理子まで登場して、真琴も些か心穏やかではなくなった。これまでこんなふうに、目の前で古庄が生徒以外の女性に迫られているところなんて見たことがなかったから。
古庄の心を疑うわけではないが、目の前の現象に捉われて、それが見えなくなってくる。
真琴でなくとも、自分の好きな男性が他の女性と必要以上に密着していれば、ヤキモキするものだ。
当然理子も、平沢が古庄にベッタリくっついている様子を横目でチラチラと確認して、気が気ではないみたいだ。
それでなくとも、今日の平沢の露出は、目に余るものがある。平沢が古庄にしなだれかかる度に、平沢の豊かな胸が古庄の腕に押し付けられているのを見て、真琴の表情も険しくなった。