恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜



 こんな風に、いつもどこにいても、古庄は女性たちの注目を集める。そして、その女性たちは、平沢や理子のように自分の魅力を振りまきながら、古庄の周りに寄ってくる。古庄の気を引いて、少しでも自分に興味を持ってもらうために。

 それは、古庄にとって特別なことではなく、これまで生きてきた中でごく普通に何度もあったことなのだろう。古庄ほどの容貌の持ち主ならば、それは当然のことで、きっとこれからもその現象は変わることはない――。



「……私……、古庄先生とやっていける自信がない……」



 ポツリと、真琴がつぶやく……。
 古庄と一緒に生きていくには、彼の周りにたむろする女性たちの存在に耐え続けなければならない。もしくは、気にならないくらい鈍感になるかだ。

 どちらも自分には無理だと、真琴は思った。


 本当の思いを口にした途端、心が悲鳴を上げて、堪えていた涙がスッと一筋の線を引いて零れ落ちる。

 真琴の言葉と涙に、古庄は衝撃を受けて凍りついた。


――…どういう意味だろう……。


 まさか、真琴は結婚してしまったことを後悔しているのだろうか……。

 そう思うと不安と焦りが募って、真琴に問い質したくなったけれども、古庄は言葉をかけることさえ怖くなった。涙を流す真琴が、これ以上自分から離れていかないよう、祈るようにただ見守ることしかできなかった。



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