恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜

絶体絶命!




 週明け、明るく澄んだ朝の空気の中、いつものように古庄は自分の机で新聞を広げていた。


「おはよう」


 そう言いながら、ほのかに笑ってくれた古庄を見て、真琴は今更ながらに自覚する。


――この人のことが好き……。


 自分でも制御ができないくらい、とても深く強く。その深い想いは、痛みを伴って真琴の胸に沁み渡り、体が震えた。


 そう自覚するのは、この日に限ったことではない。出勤して、十数時間ぶりに古庄に会うたびに、真琴はこの想いを確認する。

 毎朝、こうやって会えることが分っているから、自分のアパートで過ごす、会えない十数時間を一人でいられる。
 ずっと古庄に会えない時間が続いたら、真琴の心は凍えてしまって、きっと生きていけないだろう。
 それほど、古庄は真琴にとってかけがえのない存在だった。


 それなのに、真琴は古庄に、ひどい態度をとってしまった。一緒にやっていける自信がないと、言ってしまった。

 古庄を失っては、生きていけないと思うのに。そもそも、古庄は自分には分不相応なほどの素晴らしい男性で、その人が想ってくれていることは身に余ることだと分っているのに。

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