恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
婚姻届を出す前、1年後を待つ日々。
それはただの同僚として接することしかできなかったが、お互いを気遣い合い、楽しく良好な関係だった。
――せめて、あの時に戻れたら……。
古庄は、もう一度真っ新なところから、1年後をやり直したいと思った。
職員朝礼が始まって、その日が始まると、古庄はそんな心の中の渦巻くことに煩わされる余裕さえなくなった。目の前には、なすべきことが目まぐるしく移り変わって、押し寄せて来る。
今日は授業は午前中のみで、午後から文化祭の準備に当てられる。明日からの文化祭に向けて、短時間で一気に追い込みをかけ、学校は一瞬にして様変わりする。
9月とはいえ、まだまだ暑い中、生徒も先生たちも総出で、文化祭を盛り上げるため汗まみれになって働いた。
特に暑いのは、体育館だ。古庄は自分のクラスのことは生徒に任せきりで、自分はもっぱら実行委員たちと体育館のセッティングやオープニングやエンディングの打ち合わせ、ステージの最終調整に追われた。
同じ特別活動の担当でも、真琴は明日からの文化祭で監督や生徒誘導などがあるくらいで、今は自分のクラスの方にかかり切りだった。