恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
「間に合うかどうかは、やってみなくちゃ分からない。だけど、問題なのは、このまま諦めて自分に納得が出来るか…ってことじゃないかな?誰か一人でも、この絵を完成させたいと思っているなら、私は全力で協力する」
真琴の目が、まっすぐ実行委員長を捉え、それからそこにいる全員を、最後に真琴を見つめていた古庄を捉えた。
愕然として硬直していた古庄の思考が、真琴の言葉に揺り動かされ、大事なことに気づかされていく。
「俺は、やるよ。何日徹夜してでも。たとえ、文化祭に間に合わなくても、この絵を完成させたいからな」
真琴の言葉に力をもらった古庄が、真っ先に口を開いた。
真琴が傍にいて助けてくれる……。
それは、古庄にとって何ものにも代え難い強い力となって、後押ししてくれる。冷静で思慮深い真琴に肯定されていれば、自分が正しいことをしていると確信することが出来る。
だからこそ、この事件が起こってしまった時、真っ先に真琴のことが頭に浮かんだのだ。
古庄が動き始めると、生徒たちも一斉に動き始めた。破損した部分の修復の仕方を話し合い、早速作業に移る。
作業の大半は、五色に塗り分けられた短冊を、もう一度作り直すことだ。必要になる短冊は、およそ千枚にものぼる。