あなたには見えますか…………
マキちゃんの自宅前に着くと、マキちゃ

んの父親が、お寺の庭にたたずむ姿がす

ぐに映り込んで来たんだ。



「おじさん、こんにちは……」



「あぁ……君たちか……」



目は虚ろで、衰弱した姿が痛いほど感じ

る事がすぐに分かる姿で、俺たちの前ま

でゆっくりと歩いて来てくれていた。



「おじさん……俺……悔しくて……

おじさんは、もっともっと苦しいと思う

けど、話しを少しでも聞かせてもらいた

くて……

俺、少女が憎くて……

どうしても許せなくて……」




「秀弘くん……私も悲しいよ……

とてもね……悲しいという言葉では足りな

いほど……

しかし、憎しみは憎しみを生む形となっ

てしまう。

私達がいま出来ることは、マキのような

罪無き者が被害に合うことを、これ以上

増やさないようにすることなんだよ……」



「はい……でも俺、悔しいです。

オサムやマキちゃんを連れて行った者が

、とても……」



「秀弘くん、それにカオルちゃん、こっ

ちにいらっしゃい」



そう話すと、マキちゃんの父親は振り返

りお寺の中へと、俺たちを導いてくれて

いた。



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