あなたには見えますか…………
部屋に入ると俺は、さっきお爺ちゃんか

ら聞いた屋敷が自然と想像出来ていた。



きっとまだその屋敷はある……

俺は、まだ見ぬその屋敷の存在を、疑う

ことはなかったんだ。



きっとその押し入れの中では、さめざめ

と泣き、そうかと思えばケタケタと笑う

少女の怨念が蠢いているんだ。



俺はそのような光景が頭に浮かぶと、全

身の血の気が、静かに引いて行くのを感

じていた。



「でも、行かないと……

あいつらの無念を晴らす為にも……

そしてカオルに万が一の危険が、この先

も付きまとうなら……」




俺は、ざわつく心を鎮めるように布団に

入り眠りについていた。






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