あなたには見えますか…………
竹林を抜け、真夏の日差しが容赦なく降

り注ぐにも関わらず、俺は更なる恐怖を

感じていたのだ。



俺が想像をしていた屋敷よりもずっと老

朽化し、この目の前にある屋敷の内部の

様を考えると、恐怖以外の何物でもなか

った。



そして、村ではよく見るカラスも、この

辺りには更に多くの鳴き声が、カアカア

と不気味に鳴き叫んでいる。



「この屋敷のどこかに、少女がまだ怨み

を抱え押し入れの中に……」



俺は呟くものの、やはり足が一歩も前に

は、進んではいかなかったのだ。



どれ程時間が経過しただろう。

俺は流れ落ちる汗もそのままに、まるで

猛獣にでも睨まれているかのごとく、固

まり動けてはいなかったのだ。





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