あなたには見えますか…………
周りには建っている屋敷もあるものの、

既に取り壊されてしまったであろう、草

がただ生い茂り、取り残された瓦や材木

だけが、残る敷地も確認出来ている。



「ここに住んでいた人達は、全員……山を

降りたのかな……」



俺は、恐怖で支配されている中、ぼんや

りと頭の中に当時の光景を思い浮かべて

いたんだ。



「でも……なぜ……」



そう。俺は全てに、おいて不思議な感覚

に襲われている。



村から離れ孤立したような場所。

解体された屋敷もあるものの、未だに建

ったまま残る屋敷の数々。

そして、

長き年月を経ても、動き出しそうなカカ

シ達。



まるで突然、この場所が時間を止めたよ

うな感覚なのだ。








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