あなたには見えますか…………
聞き間違いであってほしかった。

しかし、その声はまるで壊れたテープか

ら流れる音のように、繰り返されている

んだ。



助けて、助けてと……



「村の子供が迷いこんで……いやそんなわ

けがない……でも……もし迷いこんでいた

なら……俺は見殺しに……

でも……」



自分自身の中の恐怖心と葛藤していた頃

には、既に辺りは完全に闇に変わり、こ

の閉ざされた山奥の場所に、俺は一人取

り残されていたんだ。




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