あなたには見えますか…………
暗闇の中、手探り状態でゆっくり進んで

行くと、広い居間だと思われる場所が見

えてきた。



外部とのドアは倒れ落ち、外からの風が

生暖かく吹いている。


それにより、居間に敷き詰められた畳の

上には、無数に散らばる落ち葉や埃が舞

い散るのだ。



月夜の明かりが部屋を照らし出している

ことに、多少なり暗闇からの開放は出て

きたものの、恐怖心は増すばかりであっ

た。


なぜなら、この居間から声が鳴り響いて

いたからだ。



「たす……けて……たす……けて……

おねが……い……たす……けて……」



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