あなたには見えますか…………
一歩、廊下から敷居をまたぎ、居間に入

るとじめじめとした感覚が、靴裏に感じ

るのだ。



すぐに俺は、ドアの開放された奥へと移

動していた。

無意識に明かりを求めた結果だろう。



「ウワァっ!」



ドア付近に辿り着くと、体が真下に落下

する、ぶわっとした感覚が俺を襲ったの

だ。



開放されていたドアからの雨水で、付近

に敷かれた畳が腐り果て、人間の体を支

える事は出来なくなっていた。



床から腰まで落ち込んでしまった体を、

俺は慌てて抜け出そうとするが、ぬかる

みにはまった恐怖で、パニックは極限に

達し、なかなか体勢を立て直す事が出来

ずにいたんだ。



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