あなたには見えますか…………
両腕をぬかるみに押し当てながら、まる

で地中から這い出す芋虫のように、体を

くねらせながら、俺は必死にもがいてい

たんだ。



焦りと恐怖で、呼吸をすることさえ忘れ

もがき苦しみ、気が付けば酸欠状態とな

っていた体が、ゼエゼエと息をすること

を欲している。




無意識に涙は溢れだし、藁をも掴む状態

そのままに、俺はやっとの思いで体を畳

の上に横たえる事が出来てきた。



そのまま横に這いずり、まだ腐りきって

いない畳まで移動は出来たものの、俺は

立つことができなかったんだ。




足に力を入れる事が出来ないんだ。








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