あなたには見えますか…………
翌朝、秀弘の家族が村中を探すのと同じ

くして、カオルもまた秀弘の立ち寄りそ

うな場所を探していた。



しかし、秀弘の姿は見えず、ただ時間だ

けが過ぎて行く。



昨晩もまた一睡もしなかったカオルは、

疲労の色が強く見えるものの、村中を懸

命に駆け回っていた。



「お願いだから……ヒデ……

無事でいて……」




その頃、閉ざされた村で気を失い倒れ込

んでいた秀弘は、朝の日差しにより目を

覚まし始めていたのだ。



秀弘が目を開けると、チュンチュンと雀

の鳴く声が聞こえ、昨夜の暗闇や声は消

え失せている。



「俺、いつのまにかここで……

でも……助かったんだ……」



朝の日差しを受けながら、涙が流れ落ち

ていた。


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