あなたには見えますか…………
玄関先までようやく辿り着いた俺は、玄

関の段差に腰を下ろし、座ることが出来

てきた。



しかし、両足の捻挫であろう痛みと、落

下した時の打撲により、通常に歩く事は

無理だったんだ。



昨晩と同じく、開け放たれた玄関ドアか

ら庭先を確認し、杖になるような木を俺

は、探していた。



しかし、辺りにはそのような品は無く、

この朝の清々しい日差しとは、反比例し

た絶望や焦りが、俺の心をまた支配しよ

うとする。



「早く、この場所から離れなきゃ……

また夜が来たら……」



俺は四つん這いの形を取り、竹林の方向

を目指した。



まるでそれは、大きな虫の姿のように。






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