あなたには見えますか…………
建ち並ぶ廃墟と化した屋敷を背に、俺は

ガサガサと移動して行く。

自分自身でもそれが、あまりにも滑稽な

姿だと分かる。



しかしそんなことには構っていられなか

った。

ただ、この場所から逃げたい。



その気持ちしか脳裏には、浮かんでこな

かったのだ。



そして、この俺の姿を見ているのか、昨

日と同じようにカラス達が容赦なく鳴き

叫んでいるのだ。



まるで、早く動きを止めろとでも、言わ

んばかりに。



竹林までの距離は、目には映っている。

しかし、この進み方ではなかなか距離が

縮まらないのだ。



何度も何度も、休憩を繰り返しながら俺

は、やっと竹林の侵入口まで辿り着いた

んだ。



衣類はボロボロになり、精神的なダメー

ジも抱えながら。



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