あなたには見えますか…………
竹林の中は、日差しが入らないこともあ

り、朝の気温が更に下がっている。



俺はその中をゆっくりと進んで行く。

四つん這いになり、ゼエゼエと呼吸を乱

しながら。



竹林の中には、竹が根元から折れ、竹内

部の水分が飛んでいる硬い竹も、あちら

こちらで見ることが出来ていた。



俺は長さ具合の良い竹を、這いながら二

本手に取ると、それを松葉杖に見立て、

立ち上がることが出来たんだ。



そして、ゆっくりとではあるが、進んで

行く事が出来だした。



昨晩からやっと、立つことが出来た喜び

も噛み締めながらも、俺は一刻もすぐに

あの屋敷から、遠ざかりたい気持ちが上

回り気持ちが焦っていた。




悔しくて、怖くて、情けなくて、惨めで

俺はボロボロと涙を流しながら。


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