あなたには見えますか…………
「ヒデ……ヒデ! おじさん! ヒデが歩

いてくるよ!」



狭く薄暗い道を、父親とカオルが駆け寄

ってくるんだ。



俺は、まるでずっと会ってなかったよう

な感覚になっていた。



たった一日の事でも、俺には永遠に続く

かと思われた長く苦しく、孤独な時間だ

ったから。



「今から俺らは、この竹林に探しに行く

ところだったんだが……

秀弘……お前、そんな体になって……

いったい何があったんだ……」



父親が俺を近くで見るなりそう呟くと、

俺を支えながら横で歩き出すのだ。



「ヒデ……何が起きたの……

でも……

ヒデが無事に生きていてくれて……

よかった……」



カオルが泣きながら話すその言葉に、俺

はまるで夢の中を経験していたような、

感覚になっていた。





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