あなたには見えますか…………
病院に着き、診察された結果は、重度の

両足捻挫だと診断されていた。



しばらくは、足にはギブスが巻かれ、車

椅子生活になるだろう。

しかし、命が取られなかっただけましな

んだ……



俺は目の前にいるカオルや家族を、今ま

で以上にいとおしく感じる。



もし、あの屋敷で押し入れを開いてしま

ってたら、俺は皆に会うことも出来なか

っただろう。



満月の夜ではなくとも、あそこに本体で

ある恨み妬みの魂があるのなら……



そして、あの声を聞いた少女に、オサム

とマキちゃんは、連れていかれた……



その憎むべき敵を前にして、俺は何も出

来なかった自分自身が、情けなくて仕方

がないんだ……





< 156 / 187 >

この作品をシェア

pagetop