あなたには見えますか…………
「秀弘は、あの竹林の先にお屋敷をたく

さん見たんじゃろ。

あの一帯の者達も、わしが子供の頃は栄

えていてな。

毎日が平和で、のんびりと暮らしておっ

たんじゃ。

あんなことがあるまではな……」



「お爺ちゃん……あの場所に住んでいたこ

とがあるの……?」



「あぁ。わしが産まれたのも、あの村じ

ゃ。作物にも恵まれておってな、本当に

よい村じゃったわい……

だがの、あの少女が亡くなってからは、

毎月満月の夜には、人が消えていったん

じゃ……

村人は祟りだと言い始めてな。

あの少女の祟りだと……

それからあの一帯の村人は、今わしらが

おるこの場所に移動してきたんじゃ……」



俺とカオル、そして、家族はお爺ちゃん

の話に聞き入っていたんだ。



あまりにも悲しい顔をして話す、お爺ち

ゃんを見ながら。



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