あなたには見えますか…………
「わしらは、その空き家になっていた屋

敷に入ると、やはり電気も付きはしなか

ったが、目が暗闇に慣れると色々な場所

を皆で移動して遊びだしていたんじゃ。

満月の光が部屋のガラスから入ってきて

いたのもあってな……

わしたちは、その月明かりの元、はしゃ

ぎ回っておったんじゃ。

かくれんぼのことも、すっかり忘れてい

たんじゃろ。

四人もいたこともあり、怖さより冒険心

が勝ってしまってたんじゃろうな……

部屋をあちらこちらと移動しての。

その時に、探検に飽きたのか、いきなり

思い出したように、あの少女……

雅子(マサコ)が隠れようと言いだしてな。

わしらは、見つかる事もないから、最初

は無視して遊んでたんじゃが、雅子が自

分から押し入れに入って隠れ出したんじ

ゃ。

持って来ていた手鞠と一緒にの……

残ったわしらは、それを見て驚かすつも

りで、押し入れの扉を手で押さえつけて

な……

最初はその程度だったんじゃが……」




深く目を閉じると、お爺ちゃんは寂しげ

にまた話し出していた。



< 165 / 187 >

この作品をシェア

pagetop