あなたには見えますか…………
「えっと……言い伝えってなんだっけ?

えっと……あ。押し入れの迷信だったかな

ぁ?」



「あの子がいなくなったのは、二日前の

満月の夜じゃ。きっと押し入れを開けて

しまったんじゃろうな……

可哀想に……あの世に引きずり込まれたん

じゃろう、あの娘にな……」



「え……そんなわけ……

ただの迷信だろ? それってさ?」



「いや、迷信ではないぞ……秀弘。

これは本当にある話なんじゃ。

本当にな……

秀弘も気を付けるんじゃぞ。

迷信だとバカにして、興味本意にやるん

じゃないんだぞ……」



お爺ちゃんはそう話すと、悲しい表情を

浮かべたまま、ゆっくりと風呂場へと向

かっていた。




< 20 / 187 >

この作品をシェア

pagetop