あなたには見えますか…………
「よく来たね、まぁ入りなさい」



マキちゃんの父親が俺達の姿を見ると、

優しく話しかけてくれていた。



「お邪魔します……」



俺は、普段入ることのないお寺の内部を

見て、緊張でぎこちない動きになってい

たように思う。



「あれ、今日は三人か。オサムくんはど

うしたんだい?」



「いや……連絡はしたのですけど、返事が

なくて……」



俺は極力、場を荒らさないように話して

いたのだが、カオルがまた話し出す始末

で……



「オサムは、きっと怖くなって逃げたん

ですよ! おじさん!」



「あはは。怖くなってか。しかし知って

いてもらった方がよかったのだがな。

下手に興味本意でやることに、なるより

かはね」



マキちゃんの父親は、静かに俺達の前に

慣れた感じで正座をすると、ゆっくりと

話し出していたのだ。






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