あなたには見えますか…………
俺たちが静かに待っていると、扉が開く

音がしたと同時に、マキちゃんの父親が

威厳ある姿をし、入って来るのが見えて

くる。



そして、俺たちの前に正座をし、優しい

表情を保ちながら話し掛けてくれている

んだ。


「今日はどういった内容を聞きに来たの

かな?」



「えっとね……お父さん。オサムがね、押

し入れの中で女の子の声を聞いたらしい

の……」



少し表情が変わったマキちゃんの父親が

話について尋ねてきていた。



「オサムくん、それはいつ頃の話になる

のかな?」



「中学生の時でした。あの声を聞いてか

らは、凄く今でも怖くて……

あんな怒りに満ちているような声は、二

度と聞きたくないです……」



「怒りだと? その声は怒っているよう

に聞こえたのかな? オサムくん!」



声を張り、話し出したマキちゃんの父親

にその場が、一斉に張り詰めた空気に変

わって行く。




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