あなたには見えますか…………
「あ……この中に入れたままか……」



オサムは、しばらく押し入れを見つめた

まま探していた動きを止めていた。



「どうしよう……今日は満月だよな……

開けれるわけないよな……

でも……」



オサムは、また皆から非難を受けること

の悔しさと、目の前にある恐怖の狭間に

立ち悩んでいた。



「俺もいつまでも、こんなガムテープだ

らけの押し入れから卒業したいしな……

それに、俺の部屋にまたいるなんて限ら

ないんだし……

もう何年も前の話だしな……」



そう自分に言い聞かすと、オサムはゆっ

くりと震える手を押さえながら、ガムテ

ープを剥がし出していたのだ。



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