あなたには見えますか…………
「イヤアアアアアアアアアアアア…………」



俺が呆然とし、押し入れをただ眺めてい

ると、後ろにいたマキちゃんの悲鳴が聞

こえて来たんだ……



「オサム……オサム……どこ……

イヤアアアアアアア! オサム!

返事してよ! オサム!」



それは、絶望に近い金切り声だった……



それを聞いたオサムの両親が駆け寄って

来ていたんだ。



「ちょっと……どうしたの?

マキちゃん? オサムは?」



「おばさん……早く……警察に電話して……

オサムが消えてしまったの……

早く電話を……」



カオルが潰れそうな声でそう懇願してい

るんだ……



その場は、泣き叫ぶ声と、懇願する声が

混ざり合い、パニックな状況と化してい

たのである。



そしてその時俺は、押し入れの中に花火

があるのを、おぼろ気な瞳で見つめてい

た……








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