あなたには見えますか…………
それからは時間がまるでスローモーショ

ンのような感覚に俺はなっていたんだ。

現実と夢との境界が分からない感覚。

目の前に見える光景が水面のように揺ら

いでいる。



「……ひろ。ひでひろ! おい! 秀弘!

しっかりしろ!」



その父親の呼び掛けに、俺はやっと周り

には村の大人たちが集まり、警察官がい

る光景を二つの目で確認することが出来

だしていた。



「お父さん……オサムが……オサムが消え

てしまったよ……」



「今から村の大人たちが探すから、秀弘

は家に帰っておくんだ。わかったな!」



そう父親が話すと、父親も大人たちと混

ざり、手に懐中電灯を持ちながら、四方

へと散らばりながら捜索を始めだしてい

た。



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