あなたには見えますか…………
俺の隣にはカオルが泣きながら、ただた

だ呆然と立っている。



マキちゃんは泣き叫びながらも、父親に

連れられ帰っていく姿が見えていた。




「カオル……帰ろう……どれ程探しても、

もう外にはオサムはいないんだから……

どれ程探しても……オサムは……

オサムは押し入れを開けて……」



「ヒデ……こんなのって……

こんなことって……オサムが……

オサムが消えて……

オサムが消えちゃったよ……」



カオルは、言葉にならない感情を必死に

話そうとしていた。



「送って行くよ……カオル……」



俺は、カオルの手を取り、カオルの自宅

方向へと進んで行ったんだ。





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