あなたには見えますか…………
「ギィヤァァァァァァァァァア……」



マキのこの世の終わりを思わせる叫びが

拡がる中、マキの父親が慌てて、マキに

近寄るよりも早く、マキの体は暗い押し

入れの中へと、引き摺り込まれていた。



父親が、押し入れの中をすぐに確認する

も、中には暗闇がただ静かに、広がって

いるだけであったのだ。



そこには、膝から崩れ落ちるマキの父親

の姿が残るばかりであった。




「マキ……マキ……マキが……」



その声は誰もいないマキの部屋を無情に

も、こだまするだけであったのだ。




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