あなたには見えますか…………
ヒデがお互いの安否を確かめ合い、電話

を切った頃は、すでに日も変わっていた

のだ。



オサムの捜索は、翌日の明るい日中に繰

り越され、村の大人たちは重い空気の漂

う中を、各々の自宅へと帰っていた。



捜索が一旦修了した外は、無情にも満月

が美しく照らす、静かな村の光景を映し

出していたのである。

オサムとマキがいなくなったこの村を、

照らし出す月光がただ美しく。





そして、この世を嘲笑うかのような笑い

声が、深く黒き闇から、聞こえてきてい

たのだ。




「ウフフフフフフフフフ……キャハハハハハハハ…………」



それは、風の音に紛れ込みながら響く、

無邪気な笑い声であった。




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