あなたには見えますか…………
俺は、昨夜はやはり一睡も出来ずにいた

んだ。オサムとの想い出ばかりが頭をよ

ぎっていたから……



昨夜の月光だけが照らし出す景色から

一変して、日が登り周りの景色は変わっ

ても、気分は変わることなく、いや……更

に気分は落ち込み現実を痛感して行く。



この景色とは裏腹に、明るい仲間の声は

もう聞くことが二度とない現実。



その現実から逃げるように俺は、朝早く

から村を意味もなく歩き回るしか出来ず

にいたんだ。



自分の部屋の押し入れさえも、見たくは

なかった……



そんな俺の心情に追い討ちをかけるよう

に、村の至る場所ではオサムを探す捜索

の声が響き渡っていた。








 
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