あなたには見えますか…………
マキちゃんの自宅の呼鈴を押すと、しば

らくしてからマキちゃんの父親が、今ま

で見たこともない顔で、俺たちの前に姿

を見せていた。



「おじさん……? すごく疲れきった顔を

してるけど……どうしたのですか?

昨夜の捜索が長引いたのですか……?」




「…………君たちか……」



カオルの問いにも、いつもの優しい表情

は戻らずにうつろな目をしたままの、マ

キちゃんの父親の姿を俺たちは、見るこ

とになっていたんだ。



「マキは起きてますか……?」



「…………」



「おじさん?」



「…………マキは……マキが……」




俺はその消え入りそうな声で話す、マキ

ちゃんの父親に、心が締め付けられる想

いがしていた。



「マキが引き摺り込まれてしまった……」



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