あなたには見えますか…………
「…………引き摺り込まれたって……

どういうこと……おじさん……」



「昨夜、私の目の前で……押し入れの中の

少女に……

私は助けることが出来なかったんだ……

マキを……」



「嘘……そんな……そんなこと……

オサムが消えて……マキまで……

なぜ、押し入れを……開けようなんて、マ

キは……」



「オサムくんを失って、マキの心には怒

りの感情が芽生えたんだろう……

それで、冷静さを失い……

マキは……あの少女に……」



俺は、この世の非情さを感じ、一言も話

すことさえ出来ずにいたんだ。

早くこんな苦しい世界から、解放された

かった……

死という概念がある、この世界から……



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