あなたには見えますか…………
隣で倒れそうになっているカオルを、俺

は支えながらも、俺はただこの歯車の狂

った世界を見つめるしか出来ない。

なんという冷酷な世界なんだ……

この世の中は……



俺は、焦点がぼやけてきた景色を見なが

ら、この現実に対応できる術が見つから

なかったんだ。



「私の力不足だ……

二人とも……今日はすまないが、一人にし

てくれないか……」



マキちゃんの父親が、そう言いながらフ

ラフラと自宅に戻って行ってしまったあ

とも、その場に残された俺たちは、ただ

立ち尽くすしか出来ずに。







< 99 / 187 >

この作品をシェア

pagetop