ミクロコスモス
これ以上足を速めるのは、さすがに意地悪だ。



常識的な事を思い出し、足を止めた。



しかし、怖い人と思って逃げ出してくれるように、眉はひそめたまま。





けれど、少女は全く気にせずにさらりと言った。



「あなたは、探しているんじゃないの?」








一瞬、少女があの人に見えた。



あまりに的確な言葉。

しかし、あまりにあっさりとした声音。


人をドキリとさせる言葉を、自然な口調で言う・・・それはまさに、あの人のことだった。





思わず、まじまじと少女を見る。



君は、何者なんだという思いをこめて。




「そうなんでしょう?」


けれど少女は、あっさりと追い討ちをかける。




落ち着いた口調で。


少女らしいあどけない声で。





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