ミクロコスモス
ぐっと唇を噛み締めた。



本当に、なんなんだ一体。






少女はただ、じっとこちらを見つめる。




「探しているんでしょう?」



確信に満ちた、静かな声が

心を揺らす。





澄んだ漆黒の瞳は、真っ直ぐにこちらを見つめる。







ごくりと、つばを飲み込んだ。


普通の少女のような、あどけなさがあるのに、老婆のような貫禄を感じる。




ここは、人さえも普通ではないのか?





そう思いながらも、一言答えた。


きっと敵わないと、悟ったから。





「――そうだよ。」


探しているんだよ。

君と同じ雰囲気をもつ、愛しい人を。




< 14 / 53 >

この作品をシェア

pagetop