ミクロコスモス
旅人Ⅲ
~旅人Ⅲ~
少女は歩く。
どこへ行くのかさえ、知らせぬまま、ただひたすらに、足を動かしている。
少女の後を追いながら、眉をひそめた。
――人がいない。
駅が無人だったように、この街には人がいない。
・・・この少女を除いて。
街の風景はどこにでもある普通のものだ。
今は駅前の商店街を歩いている。
そこここに、色々な、おそらく自営業であろう店がある。
昔ながらの商店街、という風情だ。
だが、人がいない。
店はあるのに、店員も、客も、この少女以外誰もいない。
まだ昼間であるというのに、静かな無人の商店街。
まるで、白昼夢でも見ているように感じる。