ミクロコスモス
「ふふっ・・・何も知らないんですね。」


目を細めて俺を見る。




その瞳を見た途端、急速に心が冷えた。



その瞳は、笑っていなかった。

笑ってなんかいなかった。




あまりに冷たい光を宿していただけ。








娘はつと真顔になった後、またすっと目を細めた。

ただし、今度は笑みのカケラも見えない。





鼓動が速まる。

さっきの浮かれたような熱っぽい速まりではなく、焦りと動揺による速まり。





娘は醒めた視線を、そんな俺に向ける。



ハシバミ色の瞳は、さっきとの比ではないほど、これでもかというくらいに冷たい。




瞳に宿る光には、蔑みと冷たさと・・・哀れみがこもっていた。






娘は、静かにその艶やかな唇を開く。






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