ミクロコスモス
娘は俺を真っ直ぐに見据え、言葉を放つ。


「だけど、私には効かないの。」






ふわり


風が吹き、超然とした娘の栗色の長い髪が、揺れた。








「でも、覚悟が足りてないわねぇ?」


娘はクスリと微笑む。

その微笑には紛れも無い憐憫がこめられていた。





何も言えないでいる俺に、娘は憐憫の込められた視線を向けたまま。


罵るように、吐き捨てるように呟いた。








「・・・やはり、愚かね。」



醒めた口調は、風に乗ってどこかへ消える。



娘は、俺をその冷たい瞳で見つめ、口を開いた。





「―――来てもらいましょうか。」









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