ミクロコスモス
疑問を抱きながらも、少女の後ろをついていく。

この少女がいなければおそらく迷ってしまうから。


それに、あの人を探すのを諦めるつもりもない。




駅前の、やはり人気の無い商店街を抜ける。


商店街にある店は全て、シャッターなど下ろしてなく、開いていた。

けれど、無人。


店番のような人もいないし、客もいない。

ただ、開店中の店があるだけ。




次に、さびれたホテルが密集している場所も通り抜けた。


やはりここにも人がいない。

ただこちらの方は、随分と古い建物ばかり。


寂しげな建物。

商店街は鮮やかで、レトロだけどきちんと手入れがされている感じがした。

だけどこちらは、本当にもう廃業してしまったような感じがする。


・・・無人は無人でも、こちらの方が不気味ではないな。




もし人がいるのならば、逆だろうな。


商店街の方が断然不気味なんかじゃないだろうし、安心できるはず。


けれど人のいないこの街では、こちらの方がずっと不気味じゃない。

だって人がいなくてもなんとなく納得できる。


・・・電気がついていたとしても。




そして、ホテルが密集した場所から少し歩いて森の前に来た。

少女はピタリと足を止める。





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